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Hiromi Go Concert Tour 2020-2021 "The Golden Hits" レポート
郷ひろみが全国ツアー〈Hiromi Go Concert Tour 2020-2021 "The Golden Hits"〉を開催中。約24年ぶりにライヴでギターを演奏した本ツアーのうち、12月23日(水)中野サンプラザ公演の模様をレポートする。
〈The Golden Hits〉は、シングル表題曲のみで構成されたセットリストを披露するスペシャルなツアー。2020年6月に行う予定だった〈twelve signs〉が新型コロナウイルスの影響で開催見送りとなったため、このツアーは郷やファンにとって待望の有観客ライヴとなる。開演前の客席には、郷の登場を今か今かと待ち望むファンの姿が見えた。
開演時間を迎えると会場が暗転し、ステージを覆っていた幕が上がる。バンドメンバーの田中直樹(Gt,Kb)、渡辺陽一(Ba)、中野周一(Dr)、小南数麿(Gt)、山本 一(Sax)、沼井雅之(Kb)、さらに郷ひろみの姿が現れ、大きな拍手が巻き起こった。
募っていたファンへの想いを込めて、1曲目は「逢いたくてしかたない」を力強く歌い上げる郷。続いて「お嫁サンバ」が始まると観客は立ち上がり、グルーヴィなサウンドに乗せてハンドクラップ。ファンの熱に呼応して郷もキレのあるダンスを披露し、会場は一体感に包まれた。
“たくさんの拍手を、どうもありがとう”と、郷は客席を見つめながら感慨深げに話し始める。“この全国ツアーは、僕にとって忘れられないコンサートになると思います。声は出せなくても、拍手の大きさや長さから(みなさんが楽しんでいることは)伝わってきます。ありがとう”と何度も感謝の気持ちを述べ、“1曲1曲、心を込めて大切にお贈りしたいと思います”と意気込んだ。
そして、フェンダーのAmerican Professional II Stratocasterを手に取る郷。実は彼がライヴでギターを演奏するのは96年以来、約24年ぶりだ。貴重な瞬間を見逃すまいと、観客は静かにサウンドチェックを行う郷の姿を見つめる。郷が無邪気な表情でギターを奏でると、ふくよかでありながらきらびやかなクリーントーンが会場中に響き渡る。続けて郷は“これ、知ってる?”と観客に問いかけると、テツandトモの「なんでだろう」を演奏。お茶目なパフォーマンスに観客はお馴染みの振り付けで応え、会場はアットホームな空気に包まれた。
弾き語り漫談を披露して場を温めた郷は“よし、行こう!”とクロマチックラン(テケテケ奏法)を奏でる。粒立ちの良いギターサウンドに、バンドメンバーの演奏、観客のクラップが重なって会場にグルーヴが生まれると、「未完成」が始まった。郷はギターを奏でながら憂いのある歌声で魅せる。American Professional II Stratocasterのブライトなサウンドは、バンドのアンサンブルに溶け合いつつも見事な存在感を発揮していて、郷の艶やかな歌声を引き立てていた。
このセクションでは、9曲で構成されたメドレーを披露。「未完成」のあとは、「誘われてフラメンコ」「悲しきメモリー」「花とみつばち」「よろしく哀愁」「哀愁のカサブランカ」「How many いい顔」「セクシー・ユー」「花のように鳥のように」と、緩急をつけた楽曲群がシームレスに続く。観客は手拍子や足を踏み鳴らしてリズムに乗り、時には体を揺らしながら哀愁のある歌声に浸ったり、振り付けで郷のパフォーマンスに応えるなど、各々の楽しみ方で約30分に及ぶメドレーを堪能していた。
メドレー後は会場が暗転し、再びステージが照らされると、瞬く間に衣装を着替えた郷が登場。感染症対策のため会場を換気している間、郷は“2020年は不思議な1年だったなという感覚があります。でも決して無駄にはなっていない、いつも以上に考えたり振り返ることができる有意義な1年でした”と1年を振り返った。
換気が済んだところで、ライヴは後半戦へ。「ハリウッド・スキャンダル」「言えないよ」という優美な楽曲で魅了したかと思えば、赤い衣装に着替えた郷は、アップテンポのナンバーを立て続けに披露して会場の空気をガラリと変えてみせる。歌謡曲を軸にロックやエレクトロの要素を取り入れた「ウォンチュー!!!」、マイクスタンドを巧みに操るパフォーマンスで観客の目を釘付けにした「獣は裸になりたがる」で畳みかけ、「GOLDFINGER'99」で会場が最高潮に熱くなったところで、本編ラストは「2億4千万の瞳~エキゾチック・ジャパン~」。郷のダンスも終盤に向けてより情熱的になり、ファンを大いに沸かせた。
アンコールでは「男の子 女の子」「いつも心に太陽を」を披露すると、郷は再び感謝の気持ちを述べる。
“郷ひろみの存在意義とは何かを自分なりに考えてみて、やっぱり郷ひろみというのは、ステージで歌うことが一番力を発揮できるんだろうな、ステージに立つことが本当に大切なんだなと改めて思いました。そして、僕がこうしてステージで歌うことができるのは、会場に足を運んでくれるみなさんがいてくれるから。みなさんがいて初めて、僕の存在意義が生まれるんだなと痛感しました。今日は本当に来てくれてありがとう”
そして、ラストは郷が“一番僕らしく、原点に帰れる”という楽曲「あなたがいたから僕がいた」を歌唱。〈こころの支えをありがとう〉という歌詞は、大切なファンに向けた彼のメッセージのようにも思えた。
なお、〈The Golden Hits〉ツアーは2021年2月27日 (土)富山オーバード・ホール公演まで続く。また、2月14日(日)には配信ライヴを実施予定。
セットリスト
1.逢いたくてしかたない
2.お嫁サンバ
3.メドレー(未完成、誘われてフラメンコ、悲しきメモリー、花とみつばち、よろしく哀愁、哀愁のカサブランカ、How many いい顔、セクシー・ユー、花のように鳥のように)
4.ハリウッド・スキャンダル
5.言えないよ
6.ウォンチュー!!!
7.獣は裸になりたがる
8.GOLDFINGER'99
9.2億4千万の瞳~エキゾチック・ジャパン~
〈ENCORE〉
1.男の子 女の子
2.いつも心に太陽を
3.あなたがいたから僕がいた
PROFILE
郷 ひろみ
生年月日:1955年10月18日
出身地:福岡県
血液型:A型
1972年、NHK大河ドラマ「新・平家物語」で芸能界デビュー 。
同年8月 シングル「男の子 女の子」で歌手デビュー。
「お嫁サンバ」「よろしく哀愁」「言えないよ」「GOLDFINGER’99」など数々のヒット曲を送り出している、
日本を代表するポップスシンガー。
› Website:http://www.hiromi-go.net/