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GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館 レポート

2018年5月12日(土)日本武道館にて行われた、初の日本武道館単独公演「GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館」の模様をレポート。

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(Photo by HAJIME KAMIIISAKA)

66年にザ・ビートルズが来日公演を行い、その後もボブ・ディランやレッド・ツェッペリンなど、名立たるアーティストがライヴを行ったロックの聖地、日本武道館。この場所で、60~70年代のロックやブルースを基調にした音楽で日本のメジャーシーンを駆け抜けるロックユニットGLIM SPANKYが、新たな歴史を刻んだ。

会場が暗転してSEが鳴ると、会場に集まった8,000人のロック好きの歓声がこだまする。サポートメンバーの栗原大(Ba)、かど しゅんたろう(Dr)、中込陽大(Kb)に続いて、GLIM SPANKY の松尾レミ(Vo,Gt)と亀本寛貴(Gt)が登場。松尾がギターをかき鳴らして「アイスタンドアローン」でスタートし、雄大なサウンドが会場を満たしていく。

この日はインディーズ時代の作品から最新作まで幅広く披露。亀本が松尾の歌を支えつつ、ギターソロやアウトロでは圧巻のプレイで魅了する。バックの白い幕に投影されたアーティスティックな映像も相まって、サイケデリックかつ幻想的なGLIM SPANKYの音世界に誘われていく。「お月様の歌」では、亀本が演奏するアコースティックギターの調べに乗せて松尾が優しく歌い上げる。

MCでは、頭上にある国旗の方向を見ながら感慨深そうに「(日の丸を)背負っている感じがいいですね」と語った松尾。「こんなにロックが好きな友達が集まったんだから、今日はロックを楽しむ夜にしましょう」と呼びかけた。そして亀本が新たに導入されたAmerican Original ‘60s Stratocasterを手にして「すげぇロックな曲をやります」と述べると、長尺のギターソロを披露。ここで演奏した「ダミーロックとブルース」はインディーズ時代に発表したもので、彼らの楽曲の中でも特に王道のロックを思わせるナンバーだ。甘く渋さもあるトーン、指板を駆け巡り流れるようなプレイ…往年のロックレジェンドをも彷彿とさせる、ブルージーだが多彩なプレイに大きな歓声が上がる。そして歌が始まるとコードを鳴らして、まるで松尾のヴォーカルを押し上げるように重厚感のあるサウンドを響かせる。ギターソロではワウを駆使して再び圧巻のプレイを見せ、アウトロでも弾き倒す亀本。抜けの良いStratocasterの音色が、彼のプレイをより一層引き立てていた。

その後もインディーズ期の「ミュージック・フリーク」や、ダンサブルなビートの「いざメキシコへ」、彼らの人気を確固たるものにしたキャッチーな楽曲「怒りをくれよ」、美しいメロディーが魅力の「吹き抜く風のように」「美しい棘」など、幅広い楽曲を披露。さらに武道館ワンマン直前にリリースしたシングルの表題曲「All Of Us」では温かなメロディーが際立っていた。

「日本の音楽シーンにおけるロックの幅の“狭さ”を感じていて。いろんなロックの引き出しを作って、開拓していけたらいいなと思います。一緒に台風の目を大きくしていきましょう」と、自分たちのスタンスをあらためて語る松尾。後半で会場の熱気はさらに増し、「愚か者たち」「NEXT ONE」といったロックエッセンスが凝縮されたナンバーや、パーカッションをはじめカラフルなサウンドを取り入れた「END ROLL」「In the air」、聴く者の背中を押すような力強さを持ったナンバー「サンライズジャーニー」「大人になったら」を披露し、本編が終了。

アンコールでは、松尾が高校卒業時に作った「さよなら僕の町」を、アコースティックギターを手にして2人だけで演奏。2本のアコギが絡み合った美しいサウンドに、観客はじっと聴き入る。その後、サポートメンバーが再び登場して「リアル鬼ごっこ」「Gypsy」を披露。「まだまだこれから転がっていくので、みんな一緒に転がりましょう。最高の仲間がいてGLIM SPANKY は幸せです」と松尾が述べ、亀本も「僕らはここからがスタートなのでよろしく! みんな見とけ!」と宣言。この日演奏したのは、GLIM史上最多曲数となる25曲。最後の最後まで亀本はギターを弾き倒し、松尾は力強く高らかに歌い上げた。

往年のロックを基盤にしながらも、決して古き良き音楽の魅力に甘んじるのではなく、あらゆる年代のサウンドを昇華させてアウトプットしていくGLIM SPANKY。平成生まれの2人が、今この地でライヴをすることは、日本の音楽シーンにおいて大きな意味があるはずだ。これからも世代を超えて受け継がれていくであろうロックの魅力、そしてGLIM SPANKY の魅力を存分に発揮した一夜だった。


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(Photo by Hayashi Maco)

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(Photo by HAJIME KAMIIISAKA)


セットリスト
01.アイスタンドアローン
02.焦燥
03.褒めろよ
04.MIDNIGHT CIRCUS
05.闇に目を凝らせば
06.BIZARRE CARNIVAL
07.The Trip
08.お月様の歌
09.ダミーロックとブルース
10.ミュージック・フリーク
11.いざメキシコへ
12.怒りをくれよ
13.吹き抜く風のように
14.美しい棘
15.The Flowers
16.All Of Us
17.愚か者たち
18.NEXT ONE
19.END ROLL
20.In the air
21.サンライズジャーニー
22.大人になったら

ENCORE
01.さよなら僕の町
02.リアル鬼ごっこ
03.Gypsy

› GLIM SPANKY:http://www.glimspanky.com/