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銀杏BOYZ「日本の銀杏好きの集まり」レポート
2017年10月13日(金)日本武道館にて行われた、初の日本武道館単独公演「日本の銀杏好きの集まり」の模様をレポート。
峯田和伸(Vo,Gt)による銀杏BOYZが、初の日本武道館ワンマンを開催。GOING STEADY~銀杏BOYZと、幅広い音楽ファンを魅了し続けている峯田が、サポートメンバーに山本幹宗(Gt)、藤原寛(Ba,Cho)、岡山健二(Dr)、加藤綾太(Gt,Cho)を迎えて約3時間の濃密なライブを披露した。
この日のチケットは即座に完売し、約1万人の銀杏好きが武道館に集合。開演時刻になると会場が暗転し、スクリーンに過去のライブで撮影されたファンの映像が流れる。ひとりひとりが銀杏BOYZへの想いを語るその表情は、とてもキラキラしていた。映像の最後にライブのタイトル“日本の銀杏好きの集まり”が映し出されると、拍手と歓声が沸き上がる。サポートメンバーに続いて峯田が登場し、4人が音を鳴らすと、会場はノイズの洪水で溢れていく。
山本は曲によってギターを持ち替えていたが、もっとも多くの曲で活躍したのはAmerican Professional Stratocaster。音の粒立ちが良く、感情をダイレクトに表現したようなエモーショナルなサウンドは、銀杏BOYZの楽曲にピッタリだ。加藤はほとんどの楽曲で、Classic Player Jazzmaster Specialを演奏。コードをかき鳴らすときは雄々しいサウンドを、そして「駆け抜けて性春」などのアルペジオでは瑞々しいサウンドを響かせる。サウンドキャラクターがはっきりとしているので、山本や峯田のギターとの棲み分けも充分になされていた。そして藤原は、22曲すべてRoad Worn 60s Jazz Bassプレイ。アグレッシブに動き回る、メロディアスなベースラインが特徴の銀杏BOYZだが、彼のベースはふくよかなサウンドを保ちつつ、ローポジションでもハイポジションでも抜け感が素晴らしい。一音一音、細かなピッキングのニュアンスまで伝わってきて、圧倒的な存在感を放っていた。
冒頭の「エンジェルベイビー」「まだ見ぬ明日に」の2曲を歌い上げると、峯田が「2017年10月13日、金曜日。今日だけは、今日だけは、銀杏BOYZがこの国を背負って、日本国旗のもと、歌わせてもらいます」と宣誓し、「若者たち」「駆け抜けて性春」で畳みかける。序盤にも関わらず、汗と鼻水を垂らし、全身全霊で歌い叫ぶ姿には鳥肌が立つ。サポートの3人も倒れんばかりの勢いで激しく演奏し、観客も拳を突き上げたり、峯田と一緒に大声で歌ったり、クライマックスさながらの盛り上がりを見せ、日本武道館は観客の熱と汗の臭いで充満していた。MCで自身の活動をフルマラソンに例えた際、「42.195キロを走るような生き方はできなかった。100メートル走の走り方で、ぶっ倒れながら走って。でも俺はこの走り方で行けると思っています。その走り様を見てほしいです」と語っていたが、峯田のパフォーマンスは一挙手一投足に魂が込められている。そんな峯田だからこそ、歌、言葉、立ち居振る舞い、すべてが胸を熱くしてくれるのだ。
その後も速度を緩めることなく、圧巻のパフォーマンスで魅了。「夢で逢えたら」「ナイトライダー」では加藤がTelecasterに持ち替えてコードをかき鳴らし、粒立ちの良いサウンドが峯田の歌声を後押し。その後の疾走感のあるナンバー「トラッシュ」では、Made in Japan Traditional 60s Jaguarに持ち替え、美しさと独特のコードを兼ね備えた爽快なサウンドを奏でる。「村井くん(村井守)、あびちゃん(安孫子真哉)、チンくん(チン中村)、浅井くん(浅井威雄)、斎藤正樹(元マネージャー)、この場を借りてどうもありがとう」と、峯田が脱退したメンバーやスタッフへの感謝を述べると、これまでもっとも数多く歌ってきたという「BABY BABY」を披露。大合唱が起こり、会場は温かな空気に包まれる。「光」では藤原の歌い上げるようなベースが支える中、加藤はJazzmaster、山本はStratocasterでノイジーなサウンドをかき鳴らす。混沌としたバンドサウンドの中を、峯田のもはや絶叫に近い歌声が突き抜けてきて胸を打つ。その後の「NO FUTURE NO CRY」「僕たちは世界を変えることができない」も、激しくも感動的なステージングで本編を終えた。
アンコールでは、峯田がアコギ弾き語りで「人間」を披露したのち、サポートメンバーが登場して「ぽあだむ」を演奏。山本はMIJ Traditional 60s Stratocasterを手にし、パーカッシブなカッティングサウンドが、藤原のグルーヴィなベースと相まって楽曲のノリを牽引する。ラストを飾ったのは「もしも君が泣くならば」。この日一番の激しいプレイを見せる。
峯田をはじめ約3時間、全力疾走で駆け抜けた4人。その集大成となるこの曲は、理屈抜きに感情に訴えかけきた。そして、心揺さぶる熱いステージを終えた彼らの表情はとても清々しいものだった。会場を見渡すと、冒頭の映像と同じようにキラキラと輝く観客の表情が見える。1万人の観客とメンバーの心がひとつになった、感動的なライブだった。
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