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MINT mate box 1st ワンマンライヴ 「J.E.T.」レポート

3人組ギターロックバンドのMINT mate boxが、初のワンマンツアー『MINT mate box 1st ワンマンライヴ 「J.E.T.」』を全国6都市にて開催。4月29日(月・祝)渋谷WWW Xにて行われた最終公演の模様をレポート。

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初ライヴから2年。MINT mate boxのメンバー3人が“ずっとやりたい”と言っていた念願のワンマンライヴが『MINT mate box 1st ワンマンライヴ 「J.E.T.」』として、ついに実現した。4月7日の大阪公演から、名古屋、広島、福岡、札幌と廻ってきた3人は4月29日、ツアーファイナルとなる渋谷WWW Xに“ただいま!”と帰還。曲間のMCでは、“ワンマンをやりたいと言いながら、ライヴを始めたばかりの頃は、経験も体力も足りずに3曲でぜえぜえ言っていた”という思い出も語りながら、スタンディングのフロアを埋めた観客が見守る中、2時間たっぷりと熱演を披露。バンドの成長ぶりを見せつけたのだった。

“当機はスペシャルプレイスに向け、離陸します。快適な空の旅をお楽しみください”というツアータイトルに掛けたアナウンスとともにメンバーが登場して、演奏は映画『ヌヌ子の聖☆戦〜HARAJUKU STORY〜』の挿入歌に使われ、バンドの知名度を上げることに一役買った「君のことで悩みたい」でスタート。そこでいきなり筆者の耳を捉えたのが、今年4月にリリースした4th EP「Highlight」から使い始めたというフェンダーのAmerican Performer Precision Bassを、大胆に鳴らすやすだちひろ(Ba)のベースプレイだった。

タイトなドラムと中音域を鳴らしてフェンダーAmerican Professional Telecasterを軽やかにカッティングするKJ(Gt)が作り出す小気味いいリズムを縫うように指弾きで、小柄なやすだにはちょっと不釣合いにも、逆に、だからこそ見栄えがするようにも見えるPrecision Bassをプレイしながら、音数を詰め込んだフレーズが、バンドの演奏をリードしているように聴こえるのは、音色作り、プレイともに粒立ちの良さを意識しているからこそだろう。

MINT mate boxの結成とともにベースを始めてから3年。やすだは“バンド活動を甘くみているんじゃないか”と勘違いされることを心配したこともあったそうだ。しかし、現在の彼女のプレイを見れば、彼女がこれまで、どんな想いでベースに取り組んできたか、誰もが想像できるはず。序盤の盛り上がりを、さらに大きなものにした「アシンメトリー」のグルーヴィなフレーズや、「漫画でもないような話」の大胆なフレットワーク、KJが轟音を鳴らす中、メロディを奏でた中盤の「ストリート」。そして、ラストスパートを掛ける演奏の疾走感を担った「スタート」のルート弾きなど、輪郭がはっきりとした、ぶりっとした音色で存在感をアピールするやすだのプレイに、“とてもベース歴3年とは思えない”と幾度となく感心させられた。

“何歳からでもいい。やりたいことをやればいい”と、やすだは客席に語りかけたが、彼女自身が身をもってそれを証明しているんだから、これほど説得力のあるメッセージもない。

“足りん!足りん!もっとイケるでしょ!?”と客席に発破をかけながら、キュートな歌声とは裏腹に広島弁の陽気なキャラクターを印象づけたmahocato(Vo,Gt)も、初めて歌詞を書いたという「oversized」に込めた“普通でいなきゃいけないと周りに合わせる必要はない。自分自身を出していけばいい”という思いを語ると、“自分を出していくと、最高の仲間が集まってくる”と、やすだ、KJに出会えたことに感謝しながら、曲に込めた思いが持つリアリティを裏付けた。そんな明日からの人生の活力になるようなメッセージも、ポップな楽曲ともうひとつ、MINT mate boxの大きな魅力。多くのファンが彼らの音楽から、そして言葉からポジティヴなエネルギーをもらおうと彼らのライヴに足を運んでいる。

この日、バンドが演奏したのは、アンコールを含む全20曲。観客をジャンプさせたり、ハンドクラップさせたり、シンガロングさせたりと、そこにいる全員で盛り上がるアンセムはもちろん、中盤では“ワンマンならではの聴いてもらえる歌”とmahocatoが紹介した「恋の殻」「ストリート」といったバラードに加え、4th EP「Highlight」に収録したGOING UNDER GROUNDの「トワイライト」のカヴァーも披露。

その直前のブロックでは、中音域を鳴らしていた序盤から一転、“元気モリモリでイケる!?”というmahocatoの言葉に応えるようにKJが高音を際立たせ、バンドアンサンブルに熱を加える。観客の耳をとらえるキャッチーなリフももちろん、ミュートも交えながら、歌のバッキングで鳴らすカッティングもKJのギタープレイの聴きどころだ。時折、艶やかな音色が加わるものの、歪みを基本とした音作りはストイックという印象だが、その歪みもフェンダーのPlayer Stratocasterをかき鳴らすmahocatoとともに、コード感がしっかりと伝わる耳に心地いい音色を意識していたようだ。

前述した「恋の殻」「ストリート」で、KJはギブソンのLes Paulを使用。「トワイライト」で持ち替えたTelecasterでコードを鳴らした、その歯切れの良さが際立ったのは、Telecasterのポテンシャルもさることながら、直前にLes Paulを鳴らしたコントラストの効果もあったにちがいない。この日、“この景色が信じられない。ここまで来られて嬉しいです”と一言だけ語った寡黙なリーダーは、派手なフレーズこそ弾かないものの、巧みなスイッチング、繊細なビブラート、小粋なフレーズでも聴かせる、なかなかのテクニシャンのようだ。

単にポップとか、キュートという魅力だけにとどまらない、各々のプレイの魅力もアピールしながらライヴは進んでいき、モータウンドビートが軽快な「oversized」からの終盤の流れでは、コール&レスポンスを交えながら「ミント」「リサイクル」「hanabi」と畳み掛け、シンガロング、タオル回しで応える観客とともにクライマックスに相応しい大きな盛り上がりを作り上げた。

そして、“もっともっと大きいステージに立つバンドになるし、大きなステージに立つことで、勇気や希望を与えられると確信しているので、これからもよろしくお願いします”と、やすだがワンンマンツアーの成功をステップに、さらなる飛躍を目指すことを誓うと、最後に予定になかった「スタート」を披露。ストレートな8ビートの曲をかき鳴らして、ワンマンツアーの大団円をダメ押しで盛り上げた。


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セットリスト
01.君のことで悩みたい
02.present
03.カセットテープ
04.走れ
05.アシンメトリー
06.漫画でもないような話
07.スロー&スロー
08.なんでばかりの恋
09.シャッター
10.ラブラブファイヤー
11.恋の殻
12.ストリート
13.トワイライト
14.oversized
15.ミント
16.リサイクル
17.hanabi


› MINT mate box:https://mintmatebox.com/