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フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE レポート

フジファブリックが、10月20日(日)大阪城ホールにてデビュー15周年記念ライヴ『IN MY TOWN』を開催。その模様をレポート。

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10月20日(日)、フジファブリックの山内総一郎(Vo,Gt)が生まれ育ったここ大阪の地で、念願の大阪城ホール公演『IN MY TOWN』を行った。

デビュー15周年を迎えると同時に、志村正彦(Vo,Gt)没後10年の節目となる今年に、このライヴを行うことを1年半前から公表していた彼らを待っていたのは、開場前にも関わらず全国各地から駆けつけた多くのファンだった。

開演前、薄暗いステージ上に多くの機材が並ぶ中、中央にひと際目を引くのはマスタービルダージェイソンスミスが製作したレッドカラーのSOUICHIRO YAMAUCHI STRATOCASTER。その隣には、加藤慎一(Ba)が愛用するフェンダーのJazz Bassがある。開演に先立ち、注意事項をメンバーがひとりずつ自らの声で呼びかけるなどし、会場の笑いと、これから一緒に迎える歴史的な3時間への大いなる期待を誘う。

いよいよ開演の時。メンバーは大きな歓声を浴びながら、お揃いの赤い衣装でステージに登場。名曲「若者のすべて」でスタートを切った。

今回のライヴで使用されたギターは、2016年に発売され大きな話題を呼んだ山内のシグネイチャーモデルのプロトタイプであるジェイソンスミス製作のSOUICHIRO YAMAUCHI STORATOCASTERと62年製のSTORATOCASTER、デビュー15周年を迎えるにあたり山内の故郷での思い出を形にしたいとの願いで製作されたSOUICHIRO YAMAUCHI TELECASTER “MAROON”だ。

メンバーにも観客にもまだ始まりの緊張感が漂う中、2曲目の「はじまりのうた」で金テープが発射され会場は一気にお祭りムードに。ファンの大歓声と手拍子に、加藤の唸るような芯のあるJazz Bassサウンドが応え、ファンと一緒にひとつの音を作り上げていく。

MCで山内は“今日は僕らの夢と、みんなの夢を叶える日です。こんなにすごい日はないですよ? ひとり残らず幸せにしますから、最後まで盛り上がっていきましょう!”と呼びかけ、“城ホール!”の掛け声とともに「SUPER!!」を披露。SOUICHIRO YAMAUCHI STORATOCASTERを抱えた金澤ダイスケ(Kb)もステージ中央に進み、山内、金澤、加藤の3人が横並びでギター&ベースのヘッドを前後に大きく振りながらパフォーマンス。エッジの効いた軽快なストラトサウンドで、お決まりのフレーズを響かせた。

続けて「星降る夜になったら」では62年製のSTORATOCASTERに持ち替え、ワウをかけても音痩せしない太い音でのソロを披露。ここからもギターの特性を熟知した山内のギターや音作りに対する誠実さを感じることができた。

改めてステージに立つメンバーを紹介したあとに、山内はここ大阪城ホールでのライヴが幼い頃からの夢であったこと、そして亡き志村との思い出を話し始めた。

「志村の強い眼差しや意志、そして音楽のセンスに惚れて一緒にやってきた。今年で亡くなって10年だけど、ずっと大切な仲間であり友達。フジファブリックを作ってくれた彼に感謝したいと思う。紹介させてください、志村正彦!」とメンバー紹介。10年経った今も色褪せず、フジファブリックの中に志村が生き続けていることを改めて感じ涙するファンも多くいた。

そして、「バウムクーヘン」ではこの日初めてとなるSOUICHIRO YAMAUCHI TELECASTER “MAROON”を使用。fホールが2カ所あり、マホガニーボディのため抜けない音かと想像されやすいが、その音色を実際に聴いて驚いた。ほど良く丸くファットだが、長年使い込んだかのような枯れたサウンドで、ソロで弾いてもバックに負けない力強さを感じさせる。

また「ECHO」では、ストロークのイントロで生鳴りの良さを思わせるとともに、間奏のハイポジションでの高速ピッキングでも音が潰れずかつ速いレスポンスで、ポテンシャルの高さを感じざるを得ない、まさにプレイヤー向きのギターであると確信した。

このギターは、20日正午より15本限定で予約を開始したが即完売。大阪を走る阪急電車を見たことのある人ならご存知だろうが、マルーンカラーにホワイトでラインやナンバーなどが入っている車両で、それがちょうどバインディングのホワイトと重なり、まるで阪急車両を眺めているかのような気持ちにもなる。そんな山内の思い出と遊び心の溢れるギターは、幼い頃からの夢である大阪城ホールでのライヴを支え、今後のフジファブリックサウンドにより一層の広がりをもたせる可能性を秘めている。

本編最後は“この日のために作った楽曲を心を込めて歌います”と「手紙」を熱唱。ここでは、本人にとって初めてのギターであり、プロギタリストを志したときにヘッド裏に「魂」と書き込んだというブルーのストラトが登場。ていねいに歌い上げると、会場は感動に包まれた。

忘れていた夢を思い起こさせるような、切なくも大きな力を与えてくれるこの日のライヴは、まさにフジファブリックの夢とファンの夢が叶った瞬間だった。


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(Photo by 渡邉一生、森好弘)


セットリスト
01.若者のすべて
02.はじまりのうた
03.Green Bird
04.SUPER!!
05.星降る夜になったら
06.オーバーライト
07.バウムクーヘン
08.赤黄色の金木犀
09.ECHO
10.ブルー(Acoustic)
11.ハートスランプ二人ぼっち(Acoustic)
12.透明(Acoustic)
13.LIFE
14.徒然モノクローム
15.Feverman
16.東京
17.STAR
18.手紙

ENCORE
01.Present
02.桜の季節
03.会いに
04.破顔


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