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FENDER JAZZ CLUB Vol.2 レポート

12月7日(土)代官山 蔦屋書店3号館2階のイベントスペース“代官山Session”にて行われた、『FENDER JAZZ CLUB Vol.2』の模様をレポート。

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12月2日から9日まで代官山 蔦屋書店で開催されていた、“100年後にアンティークと呼ばれる逸品たち”をコンセプトに、さまざまなアイテムが集められたイベント『FUTURE ANTIQUE』。そこにフェンダーのAMERICAN ULTRAシリーズが選ばれ、展示スペース『THE NEXT CHAPTER – AMERICAN ULTRA』が展開された。12月7日にはこのイベントを記念して、ベーシストの日野“JINO”賢二、フリューゲルホルンプレイヤーのTOKU、パーカッショニストの荒川結の3人によるトーク&ライヴイベント『FENDER JAZZ CLUB Vol.2』が開催された。

今回のライヴのテーマは、100年後も語り継がれるであろう名曲をスタンダードナンバーから現代の曲まで、新しいジャズのスタイルで演奏するというもの。音楽の歴史を感じながら楽しめる、特別なライヴをパフォーマンスしてくれた。

MCを務めるジョー横溝氏の呼び込みと共に3人がステージへ登壇。「このイベントに呼ばれて、素晴らしいミュージシャンを連れてきました。今日はジャズ、ブルース、ソウル、ポップ、未来の音楽まで並べて演奏していきます。最後までよろしくお願いします」というJINOの挨拶のあと、「Bye Bye Black Bird」を披露。

AMERICAN ULTRA JAZZ BASSを使用し、しなやかにフレーズをつま弾いていくJINO。まろやかなサウンドで心地いいランニングベースを聴かせ、ソロではメロディアスなフレーズを生み出す。その豊かなミドルレンジの膨らみと低音のバランスは、まるでウッドベースのような響きだ。

続いては、ジョン・メイヤーの「Come When I Call」に始まり、途中からG7のキーで即興ブルースを加えて演奏。ここではJINOのベースは硬質なサウンドへと変化し、アタックの効いた音色で楽曲の骨格を構成。芯の感じられるメタリックなサウンドで、時折スラップを混ぜながらビートにアクセントを与えていく。

さらに、TOKUのヴォーカルをフィーチュアしたジャズの定番曲「Fly Me to the Moon」では、JINOが丸みのある音色でバッキングをプレイしていたかと思えば、ソロではソリッドな音色で速いフレーズを繰り出していく。その鮮やかなコントラストが強烈な印象を残す。

ここで、11月27日に発刊されたフリーペーパー『FenderNewsPaper Vol.4』の表紙を飾るKing Gnuのベーシスト、新井和輝とのエピソードを語るJINO。

「King Gnuの新井和輝君は僕の弟子で、フェンダー大好きの彼が16歳の時、どんなベースを買ったらいいか相談されたんです。その時の予算で買える60年代のベースがあるということで楽器屋へついて行ってみたら改造された物だったので、オリジナルパーツでなければ買わないほうがいいとアドバイスしました。これからの時代は5弦のベースが必要だということですすめたのが、American Deluxe。今のAmerican Ultraの2つ前のシリーズでしたけれど、彼はそれを買って。そして、今使っているのはAmerican Ultraシリーズみたいですね。僕は1つ前のAmerican Eliteシリーズをピックアップやブリッジを改造して使っているんですけれど、すごく良くて。今日弾いているのはAmerican Ultra、このベースは最高です」(JINO)

そして、JINOの曲「She’s No Good」では、自身もヴォーカルをとりながらファンキーなベースをプレイ。スラップを多用したスピーディなフレーズがはじけるように飛び交うのも、音の立ち上がりの良いAMERICAN ULTRAならではだ。

再びTOKUが艶やかなヴォーカルを聴かせるシャーデーの「Kiss of Life」では、JINOがヴォーカルとユニゾンでベースソロを披露するなど、多彩な演奏で楽しませる。さらに、TOKUと荒川結のソロも加わり、スケール感のある見せ場を作っていた。

「今日は素晴らしいイベントになりました。僕は幼い頃からフェンダーフェチで、フェンダーのベースをいつか買いたいって学校でJazz BassやPrecision Bassの絵を書いたりしていたんですけど、こうやって夢が叶うんですね。みなさんも、楽器をやってみたい、音楽をやりたいと思ったら、年齢に関係ないですから。自分が楽しければ、他の人たちも幸せにできるパワーが音楽にはあるので。みなさんも、楽器屋に行ってフェンダーをチェックしてみてください」(JINO)

JINOのパワフルなベースリフで始まったのは、ウェイン・ショーターの「Footprints」。骨太なサウンドがダンサブルなナンバーにさらに華やかな表情を与え、どっりしとしたグルーヴで魅了。ほぼ全編にわたってベースが存在感を発揮するアレンジで、卓越したテクニックを的確に伝えるAMERICAN ULTRAが楽曲を印象深いものにしていた。

ひと通り演奏を終え、12月3日にフェンダーとエンドース契約を結んだJINOが、その“フェンダー愛”をコメント。

「51年にフェンダーのPrecision Bassが作られて、まだ100年も経っていないんです。このJazz Bassも61年に発売されて、このままほぼ何も変わっていないんですよ。木材やピックアップは変わっていますけど。もともとJazz Bassは2ボリューム、1トーンなんですけど、このAMERICAN ULTRAは高音と中音と低音を変えられる。サステインも滑らかに出るブリッジになっているし、どんどん進化しています。僕は10本以上、60~70年代のフェンダーのベースを持っていますけど、そういう古いベースを現場に持っていかなくても新しいベースで対応できることも多い。ジャズベとプレベは、世界で一番録音されたベースです。これまでのほとんどのヒット曲に使われているのはフェンダーのベースなんです。世界的な楽器です」

最後は、MCジョー横溝氏のリクエストに応える形でクリスマスソングの演奏と相成った。トリオは「The Christmas Song」をセレクト。この時期なら誰しもが聴きたくなるクリスマスミュージックをしっとりとJAZZのスタイルで演奏。集まった観客たちをハッピーな空気で包み、イベントは終幕を迎えた。


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› 日野"JINO"賢二 https://www.jinobass.com/
› TOKU http://toku-jazz.com/
› 荒川結 https://twitter.com/djembeyui