#FenderNews / EPOCH KNIGHTレポート

EPOCH KNIGHTレポート

2018年3月14日(水)新宿・伊勢丹メンズ館にて行われた「EPOCH KNIGHT」の模様をレポート。

isetan

今年が15周年のアニバーサリーイヤーとなるISETAN MEN'Sが3月14日、メンズ館3階のラグジュアリーフロアにて一夜限りのクローズドパーティー『エポックナイト』を開催した。

会場にはフェンダーによるMADE IN JAPAN LIMITED COLLECTIONのスニークプレビューブースが設置され、レアなギターをひと目見ようと多くの人で賑わっていた。2部構成となった本パーティのテーマは“STAGE”。MCにDJ TAROを迎え、3階フロアにあるビストロカフェ〈レディースアンドジェントルマン〉にてオリジナルドリンクやフードが振舞われる中、第1部ではステージ衣装をイメージしたVIP顧客によるファッションショーを開催。そして第2部では、フェンダープレゼンツのスペシャルライヴが開催され、シークレットゲストとしてギタリストのMIYAVIと書道家の柿沼康二が出演。思わぬサプライズに、フロアからは大きな歓声が湧き上がった。

ファッションショーが終わり、フロアの中央にある大きな柱を利用した“コ”の字型のステージに、来場客が次々と集まって来る。定刻の20時45分を10分ほど過ぎた頃、DJ TAROの呼び込みによってまずはMIYAVIが登場。相棒であるサポートドラマーのBOBOを含む3人編成で、代名詞とも言える代表曲「WHAT'S MY NAME」を演奏した。フェンダーのTelecasterを抱え、手を伸ばせば届くほどの至近距離で得意のスラップ奏法を惜しげもなく披露。三味線やベース奏法を取り入れ、ピックを使わず指のみで弾くその独特の奏法により、これまで聴いたこともないようなサウンドを次々と繰り出していく。

ベースレスという編成にも関わらず、どっしりとした重たい低音を感じることができるのは、MIYAVIやBOBOの圧倒的な演奏力は言うに及ばず、高域から低域までしっかりと鳴らされるTelecasterのポテンシャルによるところも大きいだろう。エレキギターとドラムスという、限られた音数だからこそ立ち上がりの速さや粒立ちの良さ、倍音の豊かさなどが際立って聴こえてくる。

曲が終わり、フェンダーとの出会いについてMIYAVIはMCでこう語っていた。

「もともと僕は違うメーカーのギターをずっと弾いていたのですが、ナッシュビルでレコーディングしたときに、もっとエッジーなサウンドが欲しいと思って新たに購入したのがテレキャスもどきのギターだったんです(笑)。帰国後、そのギターを抱えていろんな雑誌の表紙を飾っていたら、ある日、フェンダーミュージックの社長のエドワード・コールさんから電話がかかってきて。“どうせなら、本物のテレキャスを弾いてみないか?”と言われ、試奏したのが最初でしたね」

それ以来、ずっと彼はTelecasterを使い続けているという。

「やっぱり、歴史を積み重ねてきた“本物の音”がここには宿っている。そんな由緒あるギターを作ってきたフェンダー企画のイベントに、こうして出演できたことを本当に嬉しく思っています」と、改めて感謝の意を表した。

“ちょっと暑いな…”とつぶやき、白い革ジャンを脱いでタンクトップ姿になったMIYAVI。鍛え上げられた美しい肉体と、そこに掘られた夥しいタトゥーに会場からは溜め息にも似た声が漏れる。“今日はスペシャルイベントということで、スペシャルなセッションをしたいと思います。大きな拍手でお迎えください。書道家、コウジ・カキヌマ!”。そうMIYAVIが叫ぶと、大きな筆を持った柿沼康二が登場。映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の日本版テーマソング「Mission:Impossible Theme」を演奏するMIYAVIの横で、その演奏と動きに呼応するがごとく筆を走らせていく。

isetan

一方、MIYAVIはトレモロアームとワーミーを駆使したクジラの鳴き声のようなサウンドを放出。かと思えばドラムと息を合わせ、まるで格闘技の“型”のような一糸乱れぬユニゾンをビシバシとキメていく。人力EDMとでも言うべきBOBOのドラムは、セクションごとに目まぐるしく変化し、まるで時空の狭間をジェットコースターで行き来しているかのようだ。

気がつくと柿沼は、黒い柱を真っ白な塗料で塗りたくっていた。そして、あらかじめ貼られていたテープを剥がすと、そこには今日のイベントタイトル“EPOCH”の文字がくっきりと浮かび上がるのだった。

最後は、リリースしたばかりの新曲「Long Nights」。この曲は、映画『不屈の男 アンブロークン』(2014年)で共演した女優アンジェリーナ・ジョリーに導かれ、2017年にUNHCR親善大使に就任したMIYAVIが、初めて難民キャンプを訪れたあとに書いたという。

「難民たちは、僕らの想像をはるかに超えるような過酷な生活をしています。僕らもまた、日々の暮らしの中で大きな壁にぶち当たったり、絶望や不安に苛まれる時も多々あります。でも、どんなに辛くても、明日が来るとさえ信じられれば長い夜も乗り越えられる。そんな思いを込めて作りました」

女性コーラスのサンプリングに導かれ、ヘヴィなヒップホップビートが鳴り響く。その上をMIYAVIの熱いラップが炸裂すると、集まった観客たちの体も揺れていた。再びトレモロアームとワーミーを駆使し、長身を弓のように反らせながら、ギターを“歌わせる”MIYAVI。そう、彼にとってギターはもうひとつの“声”なのだろう。

アート、ファッション、そして音楽が“伝統”と“革新”の狭間で融合する。そんな刺激的なイベントだった。


EPOCH KINGHT
 
 

isetan

当日駆けつけた 日野"JINO"賢二、加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)との貴重なスリーショット


› MIYAVI:http://myv382tokyo.com/
› 柿沼康二:http://www.kojikakinuma.com/

Made in Japan Limited Collection