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Why We Play vol.17:クラウド・ルー【後編】
音楽と人、そして楽器。さまざまな表現手段の中から、なぜギターを選んだのか? そんな素朴な疑問にフォーカスを当て、プレイヤーの内面に深く迫る連載企画「Why We Play」。今回は、台南出身の人気シンガーソングライターであるクラウド・ルー(盧廣仲)が登場。後編では、彼がメインで使用するFENDER CUSTOM SHOP製TELECASTER CUSTOM GOLD SPARKLE RELICのこと、そして新たに入手したAMERICAN ACOUSTASONIC TELECASTERについて聞いた。
僕は絶対に歌手にはなれなかった
クラウド・ルー(以下:ルー) ステージに上がるアーティストとして、ステージにすごく合う、ステージ映えするギターを持ちたいと思っていて。このギターはギターショップで見つけたんですけど、もともとピックガードは白だったんですね。それをミラーピックガードにしたらもっと目立ってステージ映えするのではないかと思って、この鏡面仕様に変えたんです。そこが気に入っていて、ステージに上がる時は必ずこのギターがいいなと思って使っています。
― 一度見たら忘れられないですよね、このギターは。実際に弾き心地はどうですか?
ルー ものすごく弾きやすいです。スムーズに弾けるし、自分が想像していた以上に音がいいですね。なのでライヴはもちろん、レコーディングでもよくこのギターを使います。もちろん、ステージでもいつも一緒なのですが、このギターは自分にとってそれこそ“男”。“兄弟”みたいな感じですね。
― 女性じゃないんですね(笑)?
ルー 今持っているギターは全部“男”ですね。他のアーティストの方はよく“ギターはまるで自分の奥さんのような存在”だと言うんですけど、嫁は1人しかいちゃいけないので(笑)。兄弟だったらいくら持っていてもいいから、僕が持っているギターはすべて男性です。
― なるほど。ガールフレンドはたくさんいてもいいんじゃないかと思うんですけど(笑)。
ルー 1人だけですよ(笑)。
― 何年くらい使ってるんですか?
ルー 6年です。
― ステージではほぼこれがメインですよね?
ルー 白ピックガードだった時はそんなに使っていなくて、鏡面に替えてからステップが上がったような感じで、すごく映えると思って今はけっこう使っていますね。
― ところで、世界にはたくさんのギターブランドがありますが、フェンダーというギターブランドに何か思うことはありますか?
ルー このギターがなかったら、僕は絶対に歌手にはなれなかった。だから僕にとって意味のあるものだし、さっきも言ったようにものすごく安心感を与えてくれる存在です。人生の道のりを歩んでいく中で…それこそ革命を起こしていく中での仲間だと捉えています。
― レコーディングでも使っているとおっしゃっていましたが、新作のレコーディングが始まっているとか。
ルー レコーディングはまだ始まっていなくて、今はその準備をしているところです。ですが、おそらく今回のレコーディングでもこのTelecasterを使う場面が出てくると思います。
― どんなアルバムになりそうですか?
ルー 前回のアルバム「What a Folk!!!!!」はすべてアコギで録ったアルバムで、他の楽器もすべてオリジナルの音のように奏でている作品だったんですね。次が6枚目のアルバムになるんですけど、前作とはまったく真逆のもの、明るくてハッピーでみんなが楽しくなれるアルバムになると思います。あとはいろいろな楽器を取り入れて、ヘンな音も入れたいなと思っています。
― ギタープレイの構想はありますか?
ルー 大体あるんですけど、とにかくうるさくやろうかなって(笑)!
― ちなみに、ギターを弾いていて良かったなと思う瞬間は?
ルー 正直言うと、ギターを持った時の興奮感は最初にギターに触れた時に比べると何年も弾いて来た今は若干劣ってはいるんです。ただ今はギターを持つと新しい曲が生まれるような、まるでライトのスイッチをオンにした時のような感覚になるんです。ギターを持った瞬間、自分が想像つかないもの、いろいろなインスピレーションが突然湧いて降ってくるんです。だから常にギターを触ってオンの状態にすると、想像がつかないような違う世界から、宇宙からいろいろなアイディアが降ってくると思っています。
― そして今回、フェンダーのAMERICAN ACOUSTASONIC TELECASTERを入手されましたが、新しいギターを持つとまた新しいインスピレーションが訪れるかもしれないですね。
ルー ものすごく楽しみにしているんですよ。ネットでこのギターを弾いている人の映像をいくつも見ていて、ものすごくいいと思っていたし、僕が最初にギターを弾き始めた時に“今はアコギを弾いてるけどここの音はエレキで出したいな”とか、エレキを弾きながら“ここはアコギの音がほしかったな”っていうイメージがまさにAMERICAN ACOUSTASONIC TELECASTERではできるので、ものすごくこのギターを弾くのが楽しみなんです。
― 電子音ではなく、生の楽器を弾く意義とは?
ルー 僕はギター&ヴォーカルですが、ギターを奏でることによって自分の声の代わりに歌ってくれる。まるで、ギターに命が宿るような感覚があるんです。その命を与えているのは、自分の指、つまり肉体によってです。確かにギターの音も電子的に作れるのかもしれないけど、楽器を使うことで命、生命力が感じられると思っています。
― ギターを弾く時に一番大切にしていることは?
ルー 細かい指のタッチとか、魂に訴えかけることですね。
― どうしたらそういうことができるようになりますか?
ルー 僕もまだ練習中の身なんです。ただ、すごく憧れているギタリストを見ていると、その人の音をちょっと聴いただけでその人が弾いているのがわかるし、例えば僕が一番憧れているジョン・スコフィールドの音を聴くと、そこには本当に魂が宿っている。その人にしか出せない音色がありますよね。
― ルーさんの歌にもギターにも魂が宿っているから、国境を越えてルーさんの音楽に感動しているんだと思います。
ルー ありがとうございます。
― これからギターを弾く人にアドバイスを送るとしたら?
ルー 自分がこの世界で訴えかけたいことをちゃんと考えて、コードを思いっきり鳴らしてください。
― では、ルーさんが音楽を通して世界にメッセージしたいことは?
ルー 毎日が幸運です、幸せですってことをみんなに訴えかけたいです。
― 最後に2020年の抱負をお願いします。
ルー 2020年はすごく楽しくて、うるさくて、いい音楽が入っているアルバムをひっさげて、ファンのみなさんと宇宙にいるすべての人に良い作品を届けたいと思っています。
› 前編はこちら
AMERICAN ACOUSTASONIC™ TELECASTER®
American Acoustasonic™ Telecaster®は常に進化を続けるフェンダーの精神を体現した楽器です。Fishman®と共同開発した強力なサウンドプロセッサーを内蔵し、スタジオワーク/ライブパフォーマンスの両方において、幅広いアコースティックギターのトーンとエレクトリックギターのトーンを融合した、全く新しいユニークな表現を実現。数あるカラーの中から、ルーはSurf Greenを使用。
PROFILE
クラウド・ルー
1985年生まれ。台湾のシンガーソングライター。2005年、大学1年の時に交通事故に遭い、入院中に独学でギターを始める。翌年、音楽コンテストで優勝を果たし、審査員として参加していた現事務所TEAM EAR MUSICの社長の目にとまり、2006年10月、1stシングル「淵明」をリリース。2012年には台北・香港・東京の3都市を巡るツアー「ASIA MUSIC CONNECTION」を開催。2016年11月、日本での初ワンマンライブ「クラウド・ルー JAPAN TOUR」を東京・大阪にて開催。2019年12月、ワールドツアーの一環として「Crowd Lu 2019 World Tour Tokyo」を渋谷TSUTAYA O-EASTで開催。
› Website:http://www.crowdlujapan.com