#FenderNews / プレシジョン・ベース vs. ジャズ・ベース、どちらを選ぶ?
プレシジョン・ベース vs. ジャズ・ベース、どちらを選ぶ?
違いを理解し、自分にフィットするベースを選択しましょう。
音楽の歴史を振り返ると、1951年にレオ・フェンダーがプレシジョン・ベースを初めて世に送り出すまで、エレクトリックギターの美しいサウンドを支える楽器は存在していませんでした。エレクトリックベースが登場するまでは、アンプを通したエレクトリックギターが、アップライト型のアコースティックベースのサウンドをかき消してしまっていたのです。
当時から人気があったテレキャスターとサウンド的にも、ビジュアル的にもマッチするプレシジョン・ベースは、それまでのベースの常識を覆しました。ストラップを使って肩から下げることができ、ネックにはフレットが付き、何といってもアンプへ繋ぐことができるようになったのです。また、大きくかさばるアップライト型ベースと比べて、ボディもずっとコンパクトになり、持ち運びもしやすくなりました。
その後1960年、フェンダーはジャズ・ベースをリリースし、ベース界に新たな風を吹き込みました。当初はデラックスという名前が付けられていたジャズ・ベースは、その2年前に発表されていたジャズマスターとの相性が抜群でした。
プレシジョン・ベースとジャズ・ベースのどちらも、50年以上に渡りベースプレーヤーたちに愛され続けています。そして、「どちらのベースを使うべきか」という激しい論争も、その歴史の中で繰り広げられています。
ここに、プレシジョン・ベースとジャズ・ベースをそれぞれ愛用する有名ミュージシャンをリストアップし、さらにネック、ボディシェイプ、ピックアップなど、この2大ベースの特徴的な違いを見てみましょう。
プレシジョン・ベースの愛用者
- › Jet Harris (the Shadows)
- › James Jamerson
- › William "Monk" Montgomery (Lionel Hampton)
- › Brian Wilson (the Beach Boys)
- › Carol Kaye (the Wrecking Crew)
- › George Porter Jr.
- › Roger Waters (Pink Floyd)
- › Donald "Duck" Dunn (Booker T. & the M.G.'s)
- › Dee Dee Ramone (the Ramones)
- › Sting (the Police)
- › Bruce Foxton (the Jam)
- › Bruce Thomas (Elvis Costello and the Attractions)
- › Paul Simonon (the Clash)
- › Steve Harris (Iron Maiden)
- › Tony Franklin
- › Duff McKagan (Guns N' Roses)
- › Mike Dirnt (Green Day)
- › Nate Mendel (Foo Fighters)
ジャズ・ベースの愛用者
- › Jack Casady (Jefferson Airplane, Hot Tuna)
- › Noel Redding (The Jimi Hendrix Experience)
- › Larry Graham (Sly and the Family Stone)
- › Herbie Flowers
- › Greg Lake (Emerson, Lake and Palmer)
- › Jaco Pastorius (Weather Report)
- › John Paul Jones (Led Zeppelin)
- › Joe Osborn (The Wrecking Crew, International Submarine Band)
- › Sting (Police)
- › Geddy Lee (Rush)
- › Marcus Miller
- › Flea (Red Hot Chili Peppers)
- › Ron Blair (Tom Petty and the Heartbreakers)
- › Adam Clayton (U2)
- › Verdine White (Earth, Wind & Fire)
ネックとナット
最新モデルのプレシジョン・ベースとジャズ・ベースには、C字型ネックが採用され、ほとんどのモデルは、メイプル材を使用しています。プレシジョン・ベースはナット部分が約43mmとやや広く、ネックに沿って安定した厚さを維持しています。
一方Jジャズ・ベースのネックは、弦の間隔がやや狭い約38mmのナット部分からハイポジションにかけて、幅がやや広くなっていきます。フィンガリングしやすいという理由で、ジャズ・ベースの様な、ナット幅が細いネックを好むプレーヤーもいます。
ボディ
エレクトリックベースとして、初めて世に出たプレシジョン・ベースは、テレキャスターの様なシンプルなシェイプで、今までになかった、ダブルカッタウェイを採用していました。1951年〜54年まで、そのボディはただの厚い板のようでしたが、以降は当時のストラトキャスターのように、曲線的なデザインを採り入れ、よりプレーヤーの体にフィットして弾きやすい形なりました。
プレシジョン・ベースは見られない、ジャズ・ベースの特徴として、ボディ中心部にジャズマスターの様な、ゆるやかなくびれがあり、ボディと弦を弾く腕との間に距離を置いています。
エレクトロニクス
初期のプレシジョン・ベースのピックアップは、クロームプレートのシングルコイルでしたが、1957年、ハムキャンセリングのスプリットコイルへと変更されました。ポールピースの高さを弦ごとに変えることで、唸るような低音とクリアな高音を実現しました。
ジャズ・ベースはデュアル・シングルコイルのピックアップに、1弦あたり2セットずつのポールピースが割り当てられ、よりはっきりとした高音とパワフルなミッドレンジが特徴的です。2つのボリュームノブと、マスタートーンの組み合わせにより、バリエーションに富んだサウンドを作り出せます。
自分好みのベースはどちら?
プレシジョン・ベースを選ぶか、ジャズ・ベースするかの決断は、プレーヤー次第ということになります。どちらのベースもあらゆるジャンルに使用され、ライバルを寄せつけない存在となっています。どちらを選んでも間違いではありません。
ベース選びは結局のところ、見た目、持った感触、サウンドを気に入るかどうかが大切です。地元のショップへ出向き、両モデルの何本ずつを試し弾きしてみて、どのベースが自分に最適かを決めるのがよいでしょう。
(By: Mike Duffy)
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